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GameSynth 2022
2022/07/19

GameSynthで迫力あるSF兵器サウンドを作ろう

以前のブログでは、剣、フレイル、弓やカタパルトといった中世武器のリアルな効果音の設計方法を学びました。今回は時代をもっと未来へとフォーカスし、SF系のリアルな銃器音を作ってみましょう。

サウンドデザインでは、圧倒的で未来的な武器音は作成する以外に満足できるものがあまりありませんが、インパクトのある武器音を自由にデザインできる創造性があります。GameSynthのModularモデルの各シンセサイザーを使えば、もちろん設計が可能です。

今回は、SF兵器系サウンドに適した、非常にユニークなGameSynthジェネレーターやプロセッサを紹介しながら、ゲームや映画でおなじみのSF武器を再現していきます。

レーザー、ビーム、プラズマ

エネルギー放出系の兵器は、シンセサイザー(合成)音に強く依存します。

Beamモジュールは、そのパラメーター数が少ないにも関わらず、驚くほど広範囲のサウンドを生成でき、SF系武器に関してはとても便利なモジュールです。追加の変調処理なしで、エネルギービームの放出に特徴的なハミングサウンドを生み出せます。

いくつかのEnvelopeを追加してpitchwidthパラメーターを時間変化させると、単純なブラスター銃から、惑星を滅ぼす破壊光線まで、あらゆる武器をシミュレートする攻撃的なスイープ音を生成できます。

FMトーンから耳障りなノイズサウンドまで、よりざらついた武器音にしたい場合、Chaosモジュールを使えば、デジタル感満載の騒乱音を作り出せます。

ブラスター銃の象徴的な「ピュンピュン」音の場合は、Blipモジュールがおすすめです。ポリフォニック(複数の音を多重トリガーできる)機能のおかげで、連射銃も手軽に作り出せます。

また、Sine Bankモジュールを使うと別のタイプのビームサウンドも設計できます。こういった加算合成を使えば「サウンドの成形」「好みに合わせたカスタマイズ」がしやすくなり、その音はBeamモジュールのサウンドよりも穏やかなため、別モジュールで変調して一部のプロセッサにルーティング(枝別れ)させるのがおそらくベストでしょう。

リアルなタッチ

前述の合成音に、「カチャッ」というフォーリー系のリアルな要素を加えると、より現代化した武器音になります。

Gun Foleyモジュールは、トリガーからリロードまで、さまざまな機械的相互作用のサウンドを生成できます。Gearモジュールは、「カチチチ…」という安定した機械音に適しています。さらに、武器がサーボやモーター駆動を使う場合(たとえば自動照準システムなど)、MachineMotorモジュールを加えると説得力があるでしょう。

爆発音コンポーネントに関しては、たとえばBlipモジュールによるブラスター音にGunshotモジュールを加えてリアル感を与えると、音に「バヒュン!」とした重みのある銃器感を与えられます。もっと破壊力が必要な場合、Thunderモジュールの爆発音が便利です。スイープ音やビーム音の後にトリガーすることで、「キュイイィ…ズガーン!」とした破壊サウンドをすぐに作成できます。派手なアクションを演出するのにChaosモジュールを使うのもいいでしょう。

プロセシング

ベースとなる音の発音に続き、いくつかエフェクトを追加するとSF兵器の迫力を上げることができます。

モジュレーション(変調)系カテゴリーでは、Ring ModulatorChorusFlangerが特に便利です。Ring Modulatorは音を過激に変えがちですが、ChorusFlangerLFO rateDepth値を高くすることで、サウンドにより有機的なうねりを与えます。プロセシングチェーンの中で、LFOを使ってシンプルにGainを変調させるだけでも、音の雰囲気が変わるでしょう。特に長いスイープ音で使うと効果的です。

時間ベースのエフェクト(たとえばDelayモジュール)を単発系サウンドにかけると、サウンドがよりスムーズになり、より自然な余韻のリリースになります。Spectral Delayモジュールには、「共鳴効果を出す」から、「各遅延帯域をランダム化することでサウンドをきめ細かくする」まで、多くの用途で使えます。下の動画のようにChaosモジュールをステレオ化するといった場合、補完的に使えます。

最後に、Saturatorモジュールを使うと、サウンドをより大きく耳障りに加工できます。このモジュールの「ウェーブシェーピング」機能は、原音に様々な方法で影響を与えます。トーン音(ホワーンとしたタイプの音)の場合、Wavefolderモジュールは、倍音を追加し、より厚みのあるサウンドへと加工します。プロセシングチェーンの最後にあるClipperモジュールは、ラウドネスをさらに上げ、その爆風でエイリアンも生き残れないくらいでしょう。

今回の近未来的兵器音パッチは、変更されたものも含めて既にGameSynthリポジトリに追加されており、ツール内から検索して使うことができます(Gun Laser Energyといったキーワードで検索すると見つけやすいでしょう)。また、以下のzipファイルから一連のパッチをダウンロードできます。

download-patches



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