トップ Tsugiブログ Particlesモデルを使って実写系サウンドを作ろう
Particlesモデルを使って実写系サウンドを作ろう
2023/04/17

Particlesモデルを使って実写系サウンドを作ろう

GameSynthのParticlesモデルは、高度なグラニュラー合成エンジンとスケッチパッド機能を備えています。使い方次第では、これまで紹介してきた非現実的・フィクション的なテクスチャ音だけでなく、日常にある写実的でリアルな効果音バリエーションも手軽に作り出すことができます。

今回は、携帯レコーダーやスマートフォンを使って日常の音を録音し、それらを使ったゲーム向け効果音の作成方法を紹介していきます。録音された音をParticlesモデルと合わせることで、面白いアセットを素早く作り出すことができます。


フォーリー(布)

グラニュラー合成は、短い動作から長く連続した動きまで、布フォーリー音をデザインするのに適しています。音のパレットを作成するために、まずは様々な素材で作られた服を録音することから始めましょう。

  • 好みの音響特性を持つ布を用意しましょう。
  • 生地のはためき音を録音します。
  • 録音した音声ファイルを編集します。クリーンで興味深い音のパートをいくつか選び抜き、それらを複数のファイルとしてエクスポートします。

これで音源をParticlesモデルで読み込めるようになりました。

  • 生成される音のバリエーションを増やすために、LoopチェックボックスをONにし、StartLevel、およびLifetimeにランダム幅を設けます。
  • RateLifetimeの値を短くすると散発的な短い動きになりますが、逆に長くすると連続的な動きの音になります。
  • スケッチパッドでピッチ(デフォルトではY軸)を変調することにより、軽いまたは重い動きを作成することもできます。
  • 最後にEQ Controlを使用すると、衣服の音響特性を簡単に調整できます。


近くに公園や庭があれば、葉や茂みのざわめき音を録音して、草木系のサウンドを作成するのも面白いでしょう。

  • 茂みの中の動物の動きを表現するには、Lifetimeの値を小さく、Rateの値を中~高に設定します。
  • 逆の設定にすると、木や葉っぱのそよぎのような風景音になります。(この場合、0.5Hz 未満のレートのLFOを適用すると、よりリアルな音になります)

剣の戦い

中世の剣の乱闘など、複数のイベントで構成されるアンビエンス音は、Particlesモデルで簡単に設計できます。

  • キッチンにあるナイフ、フォークといった金属製の調理器具で、衝突・摩擦音を複数録音します。
  • 各音を個別にトリムしてエクスポートし、Particlesモデルで読み込みます。
  • 現実的なタイミングパターンにするには、Rateを小さくして遅くすることが重要です(1秒あたり約6個程度のパーティクル放出)。また、Periodic(一定間隔で発生させる)オプションも外しておくと、ランダムで自然なタイミングになります。
  • 音声ファイルのウェイトを変更して、衝突音と摩擦音の発生バランスを調整できます。
  • 非現実的なサウンドにならないように、スケッチパッド内でのピッチ変調を外しておくといいでしょう。
  • FilterEQ ControlDelayを使用すると、距離感や減衰を調整できます。
  • 最後に、録音素材の音の聞こえ方が軽すぎる場合、Saturationを設けるとより重厚感のある剣の音に仕上がります。

群衆

グラニュラー合成は、録音音源をより広大に、立体的に加工したい場合にも便利です。群衆の声の加工にも活用できます。

  • 録音素材を編集する際、識別できる(際立った特徴的な)タイプのイベント音はなるべくこの時点でカットしておくといいでしょう
  • Particlesモデル内では、Start値をランダム化し、かつ低いRate(3 per s)、長いLifetime(2 s)とFading(800 ms)に設定することで、滑らかで連続的なサウンドになります。
  • より密集した群集音にしたい場合は、Rateを1秒あたり最大15程度まで上げるといいでしょう。
  • スケッチパッドでピッチを調整すれば、描画位置によって群集の雰囲気も変えることができます。(ただし-400~400程度の変更に収めておくのが妥当です)

泡音

泡音を録音しておくと、水中の動きや湿地の環境音などに役立てることができます。

  • ストローを使って、水中に泡を吹き込む音を録音しましょう。吹き込む強さを変えると、さまざまなサイズの泡になります。
  • 真水ではより自然な泡音になりますが、粘度の異なる液体を使うと、よりユニークな質感の音が得られます。
  • 録音した音を、ファイルごとに小さな泡の断片音となるようカット編集し、Particlesモデルで読み込みます。
  • 環境音向けには低いRateを、液体の素早い動きには高いRateを使うといいでしょう。
  • 泡は通常、その泡の大きさ(半径)が音の高さ(ピッチ)に影響していきます。泡のサイズ感を調整したい場合は、スケッチパッドでPitchモジュレーションを使います。
  • 水中風景のような音にしたい場合は、Lowpassフィルターと多少のDelayエフェクトを使うと、奥行き感を出せるでしょう。


GameSynthのParticlesモデルはアイディア無限! 効果音源を録音(もしくは別モデルで合成)し、線を描くことで、新たな音の動き、雰囲気、テクスチャをすぐに作成できます。


download-patches



Copyright © Tsugi GK. All rights reserved.