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GameSynthで図形アニメーションに音をあてよう
これまでGameSynthを使って、リアルなフォーリーサウンド、SF武器など、幅広いサウンドを作成してきました。
今回はTVやYouTube番組などでよく見る、図形が飛び交うような抽象的なアニメーションやモーションデザインに、GameSynthを使って音をあてていきましょう。新たに搭載された動画再生機能を使えば、簡単に作成することができます!
直線的な動き
上の動画では、直線、らせん、四角など、色々な形や動きが出てきます。今回は、それらの特徴に見合った音色をひとつずつ作ってみましょう。
まずは、ブロックが上昇(↑)、左右(↔)、下降(↓)と直線的に走っていく動きです。
上昇↑の動き
- pulse設定のOscillatorとSine Bankをジェネレーターで使っています。
- 160msの短いEnvelopeで振幅を変調し、柔らかな音色のサウンドが生成されます。
- Sequencerは、Oscillatorのピッチを制御しながらジェネレーターをトリガーし、アルペジオを作成します。動画再生機能を使えば、Sequencer内のEventのタイミングを映像に合わせやすくなります。
- EQ Filterで周波数を徐々に高くすることで、動きを加えつつ音の柔らかさをコントロールしています。
- Degraderによってノイズを少し加え、最後のDelay によってサウンドのリリースを拡張し、生成された音にさらにSequencerによってノートが追加されていきます。
左右↔に広がる動き
- 左右の動きもほぼ同じモジュール設計ですが、いくつかの変更点があります。
- Delayの前にPitch Shifterを挿入し、音を1オクターブ上げています。
- Delayの後、信号をステレオで分け、各チャンネルにSpectral Delayを設けることで、とても広がりのある感覚を与えています。
下降↓の動き
こちらも、前述のパッチをいくつか変更しています。
- 三角波Oscillatorは Sequencerによってトリガーされますが、今回はピッチシーケンスを下降させています (実際には最初のパッチのシーケンスを反転しています)。
- さらに、Modesモジュールを、Clockによって定期的にトリガーし、FlangerモジュールとChorus モジュールによって変調することで、動きを強調するチャイム音を追加しています。
- 最後のSpectral Delayは、これら2つのレイヤーをブレンドする役割をします。
- 音源はピッチが上昇するChaosとSine Bankモジュールです。低いLFOレートに設定したChorusは、Sine Bankの出力にモジュレーションを加えています。
- 徐々に加速するLFOが、ミックスされた信号の振幅を制御し、回転するモーション音を作ります。
- このモジュールはPannerにも接続されており、一対のSpectral Delaysがサウンドのリリースを延長する前に、ステレオで広がり感を与えています。
- 最後に、Resonatorは、信号の特定周波数帯域を強調することで、風のようなトーン音を生んでいます。
- Noiseモジュールと非常に短いEnvelopeを使用して、Comb Filterにフィードするバーストを作成しました。
- バーストを同時にトリガーし、Comb Filterのdelay値をSequencerで変更することで、十字の広がりに同期したアルペジオを生成しました。
- Delayモジュールがパッチを完成させ、ステレオ効果を生み出します。
- ModesモジュールとBlipモジュールによって生成されたパーカッシブなサウンドは、正方形の外観をイメージしたトーンサウンドを作成します。
- 次に、Retriggerを使用してサウンドを画像と同期させます。
- 全体の動きに合わせて、Noiseモジュールでヒューという音を生成し、Biquad Filterでフィルター処理し、Chorusで変調します。
- パッチの別のラインでは、LFOによって変調されたEQ Filterが動きを強調しています。
- NoiseおよびNoise Bandsモジュールに繋いだEnvelopeは、それらのlowpassとpitchを上昇させ、最後に急降下させる作用があります。
- さらにこのEnvelopeは、2つのEQ Filterモジュール(1つはlowpass 、もう1つはhighpass)をコントロールし、音を徐々に広げていきます。
- 動画全体で音のトーンを一致させるために、sine設定のOscillatorも使っています。
- 最後のFlangerによって、モジュレーションを少し加えます。
- 黄色の円波紋の音は、Bubbleモジュールとsine設定のOscillatorによって合成されました。
- 画面中央へスライドしてくる黄色と青色のハーフトーンスポットには、シェーカー(シャカシャカ)系のサウンドを設計しました。NoiseとGranular Noise モジュールをミックスし、後者はフィルターにかけられて高周波のみを残します。
- 画面端を走る白い曲線は、Whooshモデルを使っています。動画再生機能を使えば、スケッチパッドに線を描きつつ、アニメーションの動きとシンクロさせることができます。
ヒント: Sequencerのデータを CSV形式でエクスポートして、スプレッドシートプログラムで開くことができます。イベントとその値の正確な編集と並べ替えがはるかに簡単になります。
あるいは、GameSynthコマンドラインには、一連のメモを含むCSVを処理し、それをSequencerモジュールでロードできるシーケンスファイル変換関数も提供されています。
らせんの動き
らせんの動きの「シュイイン」音は、次のパッチで表現しました。
十字の広がり
十字が広がっていく音には、物理モデリングのアプローチが使用されました。
四角形の大小
動画の最後で出てくる四角形の動きにも、同じような音が使用されています。
最後に、ビデオは吸引音で締めくくられます。
ヒント: GameSynth 2023.1で導入された動画再生機能に加えて、このプロジェクトには新たにGameSynth APIも使用しました。 具体的には、Reaperで最終的なサウンド編集を行っている間、API に接続してGameSynthパッチをタイムラインに直接レンダリングするスクリプトを実行し、編集プロセスを合理化しています。
他の小さなオブジェクト
動画に現れる、他の小さなアニメーションシェイプのサウンドパッチも作成しました。
動画再生機能(映像とオーディオの再生または線の描画を同期させる機能)のおかげで、GameSynthではアニメーションのサウンド設計がさらに容易になりました。もちろん、元のアニメーションファイルがある場合は、アニメーションカーブを直接GameSynthにインポートしてサウンドパラメータを操作する方法も可能です。
最後に、Modularパッチがお好みでない場合は、DSP MotionやDSP Actionもございます。このタイプのアニメーションの音作りにも非常に適しているので、こちらもぜひチェックしてみてください。
