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GameSynthで、柔軟にカスタマイズできるドアの「ギイィ…」音を作ろう

ドアや床板のきしむ音は、通常一気に開ける時、そーっと踏む時で、
「ギッ!」「ギ…ギ…ギチギチ…」など、長さや鳴り方が変わります。
そのため通常のドア効果音素材を、ゲームなどのアニメーションにぴったり一致させるには手間のかかる編集作業が必要になるでしょう。
今回はGameSynthのFracture(摩擦)モジュールを使って、アニメーションカーブによって柔軟に音の長さや鳴りを変えられる、プロシージャルなきしみ音モデルを作ってみましょう。
音の発音
下図のように、きしみ音のためのモジュールとして今回は2つのFracture(摩擦音)モジュールと1つのBlip(ビロッ音)モジュールをミックスしています。
メリットとして、Fractureモジュールには「Hardwood(固い木)」「Softwood(柔らかい木)」「Natural Fibers(繊維)」「Rubber(ゴム)」「Metal(金属)」といった、音の素材を変えるパラメーターが搭載されており、これによりこのサウンドモデル1つで様々な素材のきしみ音を生み出せます。

一方左側のBlipモジュールは、本来SFやUI的なシンセ音を作り出すモジュールですが、
ピッチ、フィードバックなど多くのパラメーターが搭載されており、設定によっては今回のように、
木の鳴る「ギチギチ…」音のベースになる音へと調整することもできます。
(設定によっては、水滴の滴りのような音にもなります)
フィルタリング
音源はその後、Cabinet(キャビネット)モジュールというフィルターに送信されます。
このモジュールは、共鳴体の寸法と減衰を定義して、サウンドに重みとリアリズムを与える効果があり、各入力に異なるジェネレーターを供給すると、キャビネット内で相互作用が発生します。
その後3本のアウトプットはミキサーを介してバランスを取り、EQ(イコライザー)とDelay(ディレイ)によって音を仕上げています。

音のコントロール
本パッチでは、一番上にあるオートメーションカーブを用いて、きしみ音の長さやスピードを変更できます。
カーブは下の画像左側のClockモジュールのFrequency(トリガーを発する頻度)ピンと繋がれており、そのためカーブの値が高いほど、クリック音が頻繁に発せられることになります。
また、画像右側では2つのFractureモジュールのSpeed(スピード)や
Crack(ガリガリ感)と繋がれており、音の鳴り方自体もカーブによって調節されています。

また、必要に応じて、反応そのものをカスタマイズすることも可能でしょう。
たとえば、Automation Curveモジュールの直下にDerivatives(微分)モジュールを繋げることで、
カーブの「速度」「加速度」を得られるようになります。つまりVRゲームなどで、ドアをゆっくり閉めたり勢いよく閉めたり、
そのスピードによって、きしみ音を本物のようにインタラクティブに起こす、といったことも可能です。
また、Mapperモジュールでカーブ値をリマップすることで、「どのくらいのスピードでドアを開けると、どの程度音が鳴るのか?」=動きと音の反応性を、細かく調整することも可能でしょう。
