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ドップラーエフェクトを音作りに活用しよう


救急車が通過すると「ピーポー↑(通過)ピーポー↓」と音程が低くなる「ドップラー効果」は、
学校の物理の授業で習うところである。この効果は、物体が聞き手のいる場所を急いで通り過ぎる時に知覚されるピッチ変化のことで、物体が近づけば上がり、離れれば下がる現象である。
GameSynth搭載のDopplerエフェクターは、音源の距離と速度を設定することで、このピッチの移り変わりをシミュレーションできるモジュールである。
今回は、現実に基づいたエンジン音の通過演出を作るほか、さらに後述する「トリガーを受けると再度ドップラー効果を始める」仕組みなども使ったユニークな効果音の作例も紹介していこう。
シンプルな例-車両の通過音
分かりやすい例として、下の動画では通り過ぎるエンジン音を再現している。
別のブログでカスタマイズ可能なエンジンサウンドを設計したため、それを音源に使用している。
- Dopplerモジュールでピッチシフト効果を生み、
- Gain(音量)とPanner(位相)をそれぞれEnvelope(エンベロープ)で変化させる
ことで、実感のあるパッチに仕上げている。

コミカルなサウンド
以前のブログで作成した、「ガシャガシャン」と破片がちらばるパッチをカスタマイズしてみよう。 音源モジュールをImpactからBullet Casingsに変え、さらにDopplerエフェクトを挟むことで、ポコポコとちらばるような、アニメ風のコミカルな音に仕上げられる。
潮の満ち引き音
Dopplerモジュールのピッチ変化を利用することで、水上⇔水中を繰り返すような潮の満ち引き音を作成している。
- Hail(雹)と Fracture(摩擦)でパチパチ音を発し、
- Goo(液体)とGlanular Noise(粒状ノイズ」)でゴボゴボ音を発している。
Hailに関しては、Random signal shape(=ノイズ)設定にしたRing Modulator(リングモジュレーター)によって、音を柔らかく加工している。
すべての音源はDopplerモジュールに通すことで「ドボン」としたピッチ変化を与えている
- Clock:時間おきにトリガーすることで、潮の満ち引きのようにDoppler効果を繰り返している。
- Saturator、Chorus:音に厚みを持たせている。
- Biquad Filter: Dopplerによるピッチシフトは、過度に低音を生んでしまうため、低周波部分をカットしている。
- EQ Filter:高音域を強調している。
アニメ風なロボットアクション
モジュール上部で、Gear(歯車)とClang(金属板)で「カーン」という金属音を作り、それらをDopplerに通すことで、「キュオン↓」と吸い込まれるような独特な音にしている。
モジュール後半では、Saturator(飽和)で激しさを与えつつ、Degrader(劣化)エフェクトで、昔の音のようなフィーリングを与えている。
日本のロボットアニメで聴き覚えのある、ロボットの出撃、ショット、パンチのような音に仕上がった。
