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Ableton Live用パック無料配布!
GameSynthはこれまで説明した効果音だけでなく、ユニークで斬新なドラムキットもすばやく手軽に作成できます。パッチング環境に用意されている130以上のサウンドモジュールを使えば、衝突系物理モデリングからカオスオシレーターまであらゆるタイプの音をカバーし、かつサウンドバリエーションの自動生成が容易にできるため、楽曲制作のプロセス全体の簡易化に役立ちます。
今回は、Ableton Liveのパックとして無料ダウンロードできる5種類のドラムキットを作成しました。その制作で活用した機能のいくつかに焦点を当ててみましょう。
グリッチ系キット
- 減算合成と短いパーカッシブなエンベロープで作成された、いくつかのシンプルなサウンド
- Chaos、Parametricを使用した、独創的で過激なデジタルサウンド
- Beam、Mega Saw、Blipも活用し、キットにFM合成、スーパーソー、位相歪み系のタッチを追加
また、今回は使用していませんが、Sine Bankモジュールは、きらめくグリッチなサウンドを作成する際には非常に役立ちます。
プロセシング系モジュールでは、Ring ModulatorやDegraderモジュールを使用してサウンドを粗くしています。また、非常に短いDelays設定のVocoderを使用して、ロボットサウンドを作成しました。
インダストリアル系キット
Clang、Gear、Impact、Gun Foleyなど、ゲームサウンドデザインを目的としたGameSynth独自のジェネレーターの多くも、インダストリアル系楽曲で見られる機械的な衝突音を作成するのに最適です。SteamやMotorを使えば、キットにスチームパンク的フレーバーを追加できます。
インダストリアル系サウンドに特徴的な金属の共鳴はResonatorモジュールによって強調されますが、一方でComb Filter、Tube、Spectral Delayは音響特性を強調するために使います。
プロセシング系モジュールは、より迫力のあるサウンドを得るために、Saturator、Clipper、およびCompressorモジュールが非常に役立ちます。
フォーリー系キット
リアル系サウンドに焦点を当てたフォーリー系キットです。フォーリー系ブログで見られるように、GameSynthはこのタイプの音を作り出すモジュールが豊富に備わっています。
このキットでは、Modes、Impact、またはPlucked Stringモジュールを使用して、さまざまなオブジェクトとの相互作用によって作成されるサウンドをシミュレートします。
さらに、NoiseおよびNoise Bandsジェネレーターを適切なフィルターに通すことで、リアルなフォーリー音を再現することもできます。 また追加のコントロールとして、モジュレーション目的でEQ Filterを使い、さらにEQ (3 bands)およびグラフィカルなEQ (5 bands)を使って、サウンドのスペクトル全体のチューニングを行っています。
もちろん、GameSynthには他にもフォーリー系サウンド作成に役立つモジュールがあることをお忘れなく!
ロボティック系キット
少しクラフトワークの雰囲気があるキットです。Vocoderモジュールをうまく利用して、Blip、Gunshot、Gearなどの様々なサウンドジェネレーターにロボット感を与えています。 BlipモジュールとDegraderモジュールの組み合わせも、いくつかのLo-Fiデジタルサウンドを作成するために使っています。
Motorモジュールはロボットサーボ系の音色を出し、Sine Bankモジュールは高音のメタリック系衝突音を出します。 また、Beamモジュールを使用して2種類の荒いビープ音も作りました。
アクア系キット
最後に、アクア系キットを紹介しましょう。Bubbleモジュールは、キックとして使用できる低周波からの上昇音から、ハイハットの代わりに使用できる小さな高音まで、多くのパッチのベースとして使われています。
またGooモジュールは、水っぽいテクスチャを作成するのに優れており、主にスプラッシュサウンドに使っています。Rainモジュールも、多くのパラメーターを備えていることから、ノイズの多いテクスチャから個々のドロップまで非常に幅広いサウンドを生成します。ここでは、スネアのような音を作成するために使用しました。さらにFootstepsモジュールも使い、表面材質をMud(泥)に設定して、ぐちゃっとした音も2、3作りました。
ベロシティマッピング
GameSynthパッチの振幅にMeta Parameterを割り当てることで、ベロシティに基づいたドラムのレベル調整ができます。もちろんこれはAbleton Live側でも自動的に行われますが、その一方で、Mapperモジュールを使いながら単一のMeta Parameterで複数のサウンドパラメーターをコントロールするのも有意義な方法になります。
たとえば、前述のインダストリアル系キットのKickパッチにこの設計を使っています。Meta Parameterがメインの振幅だけでなく、Impactモジュールの上限周波数、およびComb FilterのFeedBack値の量も制御しているのが分かるでしょう。
つまり、ベロシティ値が高いほど強く音の共振が起こります。GameSynthのレンダリング機能を使うと、さまざまなMeta Parameter値のサウンドバリエーションを自動的にエクスポートできるため、ドラムキットの作成を大幅に高速化できます。ここで説明するキットでは、ワンクリックでベロシティごとに異なる20のサウンドが作られました。
その他
GameSynthではドラムやビート系だけでなく、音楽制作向けの他の多くのオリジナルサウンドもデザインできます。 たとえば、下のビデオで紹介しているドローンサウンドは、こちらのブログで設計方法を紹介しています。また物理モデリングジェネレーターを使用して、木槌や撥弦楽器などのサウンドを作成することもできます。
今回紹介した5種類のドラムラック用Ableton Live Packは以下からダウンロードできます(Live 11が必要です)。またパッケージには、GameSynth2022.1で作成したパッチも同封されています。