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2020/06/25

GameSynthでこだわりの銃火器の音を作ろう

執筆者オーディオエバンジェリスト・Kevin Doran氏 Tsugiにより原文英語を和訳しています
ライフル、ブラスター、ロケットランチャー…現代ゲーム、SFゲームなら、色々な銃火器の音が必要になります。

最新版GameSynthでは、銃の音をデザインするのに広く使える3つのジェネレーターが登場しました。


「GunShot(発砲音 バン)」
このモジュールでは、爆発(Explosives)、爆発半径(Blast radius)、共鳴(Resonance)、トーン(Tone)、彩度(サチュレーション)などの サウンドパラメーターが備わっています。また、距離(Distance)や残響(Reverberation)パラメーターも搭載されているので、銃がどれ位遠くで鳴るか、その残響音も調節できます。


「Gun Foley(操作音 カチッ、ジャキッなど)」
リロード、ショットガンのポンピングなど、さまざまな銃の物理操作音を発します。 ピッチシフト(Pitch Shift)、金属性(Metallic)、およびフォース(Force)といったパラメーターが搭載されており、 さらに銃操作の速度を変更するパラメーターもあるため、絵の動きに合った音に調整できます。


「Bullet Casing(薬莢音 チャリチャリン…)」
薬莢の排出音を作成できます。 薬莢の弾性力(Elasticity)、跳ね返りの速さ(Acceleration)などを設定できます。

リアルタイプな銃声を作ってみよう

3種類の銃モジュール+αを使って、上の動画のような、派手すぎないリアル志向のハンドガンの発砲音を作ってみました。(動画右下のボタンで動画の拡大ができます)

設計では、Clang(金属が鳴るガコン系音)、Oscillator(低音でドッと鳴る音)モジュールをさらに加え、音に重みを増しています。それぞれのモジュールで綿密に調整ができるほか、EQ、サチュレーターを加えて発砲音を整えています。

Switchモジュールの先の3本のラインは、左からそれぞれ「バン!」「ガチッ」「チャリンチャリン…」を担当するモジュールにつながっています。上流のSequencerは、3本のラインが一度に発音されて音が飽和するのを防ぐため、微妙にタイミングをずらして発音する役割を担っています。

最も、3本のラインそれぞれでディレイ(遅延)設定をかけてタイミングを調整するのもいいでしょう。 ランダム幅を設ければ、再生されるたびバリエーションをもった発砲音も用意できます。

また、Gun Foleyモジュール(ガチッ)、Bullet Casing(チャリンチャリン…)によって、銃に物理的な特徴を与えています。
たとえば前者をショットガンのポンプ設定(ジャキッ)に変え、後者をショットガンのカートリッジ設定(カシャンカシャン…)に変えれば、ショットガン風の発砲アクションに変わるでしょう。さらにモジュールの左ラインを調整して、より爆発感のある発砲音に変えれば、ショットガンサウンドを新たに作り出すといったカスタマイズもできます。

また作例では、「Gun Weight」というメタパラメータを作成し、「Gun Foleyモジュールのサチュレーション値」と「Clangモジュールのインパクト値」を制御することによって、 銃の迫力をパラメーター1つで制御しています。

このようにメタパラメータを設定しておくと、都度モジュール内のパラメーターを微調整することなく、効果音パッチに柔軟な制御を仕込むことができます。

また以下の例では、Thunder(雷)モジュールとSteam(蒸気)モジュールを組み合わせて、ロケットランチャーの効果音を作っています。他のモジュールと組み合わせることで、大型の銃火器の音を生み出すこともできます。

SF系の銃声を作ってみよう

以下の動画は、リアルとはかけ離れた、空想科学系の銃声例です。

GunShotモジュール(バン!)、Blipモジュール(ズキュン)、Noise Bandsで作られたスイープ音(シュイン)が主な構成要素です。

Blipモジュールは、Clockモジュールによって高速で複数回トリガーされており、さらにDopplerモジュールのドップラー効果によって強いピッチ変化を生むため、これによってSF的な強い「ピュイン」とした音になります。Noise Bandsも最新版GameSynthに搭載されたモジュールのひとつで、機能上は「Whooshモデル」のDeflectorと似ていますが、より綿密な設定が設けられており、非常に幅広い音を生み出すことができます。
ほか注目すべき点として、Saturatorモジュールによって、Gunshotの音の迫力を調整できること、さらにDegraderモジュール内のDecimation値を変えることで、音にデジタルなエイリアシングが生まれて発砲音の尖り具合を変えられる点があります。

また、下部に備わっているGainモジュールと、Tail lengthメタパラメータによって、音のテール長さを変えられるよう設計しています。Lerpモジュールはそれぞれ1.5秒と7.0秒に設定されたEnvelopeを補完する役割を担っており、そしてTail lengthはそのRatioをコントロールしています。

これにより、Tail length値を1にするとレーザーライフルのような長い音になり、逆に0に近づけると小型ピストルのような短い音になります。

おまけ:インターフェース音の作成にも

Gun Foleyのメカニカルな「カチャ」音は、たとえばユーザーインターフェース系の音の作成にも活用できるでしょう。 以下に、ゲームの操作画面で利用できそうなクリックサウンドの作例を載せます。
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