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2020/11/27

GameSynthで色々な破片のガチャガチャ音を作りだそう

執筆者オーディオエバンジェリスト・Kevin Doran氏 Tsugiにより原文英語を和訳しています

GameSynthのビジュアルパッチモデルには、GunShotClangなど 「バン」「ゴン」といった、単発の衝突音を出すジェネレーターがいくつか備わっています。


こういった単発音に、今回設計したエフェクトを繋げると、「ドンガシャンガラガラ…!」といったいわゆる破片系の音を作り出すことができます。


音も幅広くカスタマイズできるので、たとえば物をガシャンと叩きつけたり、アクションの演出といったネタに活用できるでしょう。


下の動画では、Clang(金属板のゴン音)ジェネレーターにエフェクトをかけて、ものをばらまくような音を生み出しています。さらに繋ぎ合わせるEnvelopeを変えることで、クラッシュの規模や長さを調節しています。


今回のブログでは、この「ガチャガチャ音エフェクター」を解説していきましょう。

音源

今回は、金属の「ゴン」音を出すClangモジュールを音源として使っています。このジェネレーターモジュールには、Impact(ぶつかり感)、Force(力)など、衝突感を変える便利なダイナミックパラメーターも用意されています。

フィルタリングと処理

エフェクト部を見てみましょう。
Transients:音のトランジェント(ぶつかる瞬間に発生する「ガツン」成分)を強くします。
Spectral Delay:音のスペクトルごとに異なるディレイとフィードバックを与え、大小さまざま「ガラガラ」効果を発生させます。
Saturator:音を攻撃的にします。




EQ(5bands):より自然に聞こえるように音を調整しています。
Gain:適当な長さで音をエンベロープでフェードアウトさせています。
Compressor:トランジェントを扱っているため、音のレベルをリミットしています。閾値によって、音がなめらかになったり、荒々しくなったりします。
Reverb:短くカットされた今回の破片音の波形を、減衰をかけることで自然な聞き心地にしています。



ロジックと制御

また、下の画像に示すパッチ上部では、Clockモジュール(複数回音をトリガーする)とEnvelope(右肩カーブになっており、トリガーされるClang音のパワーを徐々に下げている)によって、次第に規模が小さくなるぶつかり音「ゴンゴゴンゴゴン↓」を生み出しています。さらにMeta Parameterを操作することで、破片のちらばり数も変わります。




加えて、冒頭の動画にて付け替えている複数のEnvelopeは、Lerp(線形補間)を通じて、Spectral DelayモジュールのDelayパラメーターへ送られていきます。

これにより、音のディレイ時間が都度変わっていくため、「単に音が繰り返されている」感を消すことができる仕組みです。

冒頭の動画のように、接続するEnvelope形を変えれば、ガラガラ鳴りの結果も変わっていくでしょう。また音源として、Clang以外にもGunshotや、または手持ちの音源などを用いると、色々なガラガラ音を作り出せるでしょう。



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