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GameSynthで映画トレーラー風サウンドを作ろう
最近のブログで、GameSynthを使ったシネマ風のサウンドデザインについて解説しました。今回はその続編として、映画トレーラー(宣伝のための短い映像)風のサウンドデザインについて紹介していきます。以下のようなショーリール動画がイメージしやすいでしょう。
GameSynth 2023で導入された動画シンクロ再生機能を使用して、シーンにぴったりの様々な音を作っていきましょう。
モーションデザイン
冒頭の「ボワア!」とした爆発(ショックウェーブ)モーションのサウンドは、2つのパッチで表現しています。
- 最初のレイヤーは、FireとThunderモジュールを組み合わせた風切り音です。 これらのジェネレーターは、Envelopeによって周波数が変調していくEQ Filterを通過することで、サウンドに動きを与えています(そしてThunderモジュールのアタックも減衰させています)。
- 2番目のレイヤーは、Chaosモジュールによる音のコンポーネントと、Mega Sawによる低音のドロップで、よりインパクトのある音に仕上げています。ミックス後、Saturatorを通過してサウンドにパンチが加わり、Spectral Delayでさらにレゾナンスが加わります。前述のパッチ同様に、EQ FilterをEnvelopeで変調することで動きを表現しています。
また、トレーラーの各カット間に入るトランジション用にいくつか風切り音を作ります。これらは全て同じパッチをベースにしてバリエーションを作ります。また動画再生機能を使えば、各トランジションの時間にぴったり合う音を作りやすくなります。
- 風切り音を生成するパッチは、単一の低周波数帯域を持つNoise Bandsモジュールと、PinkおよびBrownianノイズを生成する2つのNoiseモジュールを使いました。 EQ FilterとFlangerを使って動きを加え、Envelopeをそれぞれのトランジションに合わせて調整していきます。
- トーンベース(低音)系のレイヤーを追加し、トランジションの中にさらに存在感を加えます。
- 前述のBrownianノイズのNoiseモジュールは、低周波数に設定されたBeamモジュールに置き換え、一部の処理モジュール (EQ FilterとFlanger) は、ノイズ系のラインのみを通過するようにしました。
別のパッチで、テキストの効果を出すための風切り音を作りました。
- このパッチは、メインモジュールとしてPinkノイズ設定のNoiseモジュール、Biquad Filter、Flanger、Sine設定のLFOのみの非常にシンプルな設計になっています。
- LFOのrate、Filterのtype、Envelopeのcurve、dulationなどのパラメーターを微調整するだけで、必要なサウンドバリエーションをすべて作ることができました。
乗り物
トレーラーには様々な乗り物が登場しますが、多機能なGameSynthであれば、必要なものは全て作り出せます。
- ヘリコプターと飛行機のサウンドは、リポジトリのパッチ (「Stationary Helicopter」と「Rocket Passby」) を少し変更して作りました。ヘリコプターパッチではローター音を強調するために、すべてのトーン系成分のレベルを下げました。飛行機に関しては、単純にEnvelopeのカーブを編集することで、トレーラーのカットに合うように全体的な音の長さを変更し、さらにDoppler効果を若干減らしました。
- Engines plug-inのSports BikeとSports Carモデルを使い、ミキサー内の様々なコンポーネントのレベルを調整することで、必要な車のエンジン音を作成しました。またバイクの場合、濡れた路面の摩擦音をシミュレートするために、広いRainゾーンを備えたWeatherモデルも使用しました。
人物の動き
橋の上で走る人物の動きは、フォーリー系パッチをいくつか作って音を演出しています。
- まずは2つのクロスフォーリー(布擦れ)パッチを見ていきましょう。 どちらも音源としてNoise Bandsモジュールを使っていますが、ジェネレーターを通過するフィルター設定が異なります。最初のパッチはより明るく、各動き全体に合わせていますが、2番目のパッチはより低いトーンを出し、より存在感を与え、その動作のピークに特別な強調を加えます。
- 動く感じを強調するため、風切り音も加えています。前述のトランジション用に設計されたパッチと同じものを使っています。
- 最後に、Footstepsモデルを使用して足音も作りました。革靴を使用していますが、音があまり突出しないように、コンクリートとカーペットの2つの表面を重ねて音を柔らかくしています。
音楽
最後に、GameSynthは楽曲制作を目的としたツールではありませんが、今回のような短い動画に適したシンプルなシンセシーケンスなら、比較的簡単に作成できます。
- 存在感のあるサウンドにするため、1オクターブ離れた2つのSaw設定のOscillatorを使っています。
- Arpeggiatorを使用してOscillatorのピッチを制御することで、最後の車のカット直前まで4音のシーケンスがループ再生されます。
- Arpeggiatorモジュールが停止すると、Muteモジュールの状態が切り替わり、最後の長い音がトリガーされます。
- 若干のレゾナンスを伴うEQ FilterのFrequencyがゆっくり上昇していくことで、音色が次第に協調されていきます。
GameSynthに新たに搭載された動画再生機能やTool APIを使えば、人気のDAW(Reaper、Protoolsなど)との緊密なインテグレーションも可能になります。プロシージャルサウンドの利点を活かして、映像シーンにぴったりのサウンドエフェクトをデザインできるでしょう。
