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GameSynth 2022
2022/12/13

GameSynthで魔法音をデザインしよう(後編)

GameSynthパッチ制作 Accel Speller
執筆者 Nicolas Fournel

ブログ前編では、GameSynthで属性系魔法を作り、バリエーション、コントロール、およびロジックを加える拡張テクニックを紹介しました。これらの基本を押さえたところで、後編ではさらに他のタイプの呪文も設計していきます。

 

召喚

悪魔召喚といった、邪悪な魔法パッチを作ってみましょう。前編で紹介した火球パッチのFireジェネレーターを、Chaosモジュールといった過激系ジェネレーターに置き換える流れになります。

  • Chaosモジュール内の2つのfrequency値を低くし、「グゴゴ…」と有機的なフィーリングの音を作り出します。
  • 狭い周波数域設定のNoise BandsChorusモジュールに通してミックスし、音に厚みをもたせます。
  • さらに2つのAnimalモジュールを追加します。一方は「グルル…」としたうなり声、もう一方は「ハアァ…」とした息遣い声に設定しています。
  • 全ラインはミックスされ、パッチのStereo出力に送られます。途中、位相シフトされたLFOによって振幅が変調され、Spectral Delayを通過することで、サウンドの有機的な感覚が強まります。
 

 

GameSynthパッチング環境には、130以上のジェネレーターとエフェクトが搭載されており、上記で使用したAnimalモジュールや、次で紹介するGlottis、Creature、Formant Filterモジュールなど、生き物の発声系のサウンド設計が可能なモジュールもあります。全モジュールとそれらの機能概要は、モジュール周期表でチェックできます。

 

次のパッチは、前述の召喚魔法とは真逆の、白魔法風のパッド音を生み出します。

  • 3つのGlottisモジュールがミックスされ、pitchが変調およびデチューンされてコードのようなサウンドになります。高域の狭い帯域で構成されたNoise Bandsモジュールは、キラキラしたサウンドを生み出します。
  • ミックスされた音は8-voiceChorusによって、より幅広いサウンドになります。
  • 最後に、highpass設定のEQ FilterDelayエフェクトがサウンドを滑らかにし、リリースを長くします。
  • 破裂

    「ポン」とした短い爆発も楽しく作り出せます。基本の爆発(風音)を作った後、好みのフレーバーを別レイヤーで追加すると魔法らしくなるでしょう。以下に例を示します。

    • pink設定の短いNoiseと、50HzのsineOscillatorをミックスし、カットオフ周波数が上下するlowpass設定のEQ FilterChorusに送ることで爆発音を作ります。
    • 爆発の冒頭にインパクトを与えるために、別のラインでBlipモジュールを追加しています。Spectral Delayで、Blipのリリースを長くしています。
    • 揺らめくようなトーンは、高域帯設定のNoise Bandsモジュールを使って出しています。さらにChorusで若干のモジュレーションとバリエーションを与えます。
    • 最終的に、すべての音同士がWavefolderによって馴染み、左右のDelayによってステレオ感が与えられます。

    コミック風キラキラ音

    「カチン」と鳴る物理モデリングを音源に、「キラキラ」とした漫画やアニメスタイル魔法音を作り出せます。以下のシンプルな構成のパッチを見てみましょう

    • Impactモジュールを、約20Hz設定のClockに接続し、2秒間連続でトリガーします。
    • ImpactpitchEnvelopeによって変調することで、一種のアルペジオを生み出します。このEnvelopeの形を変えることで、音のムードを簡単に変更できます。
    • feedbackを長くしたDelayで、魔法らしさがアップします。

     

    いくつかのエフェクトとモジュレーションを追加すれば、より謎めいたサウンドになります。

    • Impactの代わりに、よりランダムな音を出せるModesモジュールを使用します。
    • Modesモジュールの出力をGainに通し、このレベルを平滑化されたEnvelopeで制御し、さらにClockでトリガーすることで、余計な音のアタックを可能な限り抑えます。
    • さらにLFOFlangerSpectral Delayモジュールで、理想的な魔法効果を生み出します。
    • さまざまなパラメーターにランダム範囲が設けられているため、このパッチからは豊かなバリエーションが生まれてきます。

       

       

      一連の魔法メイキングはこれにて終了です。今回のチュートリアルで紹介した全パッチも、以下からダウンロードできます。 またGameSynthリポジトリにて"Magic"と検索すると、ゲームや映像制作で役立つ、細部までカスタマイズ可能な魔法系パッチが手に入ります!

       

      download-patches

      GameSynth



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