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GameSynth 2022
2023/01/10

DSP Motion & Actionで
大型ロボットの歩行音をデザイン

GameSynthパッチ制作 Accel Speller
執筆者 Nicolas Fournel

派手なアクション音を得意とするDSP Actionと、動きを伴うサウンドテクスチャが得意なDSP Motionを使って、大型ロボットの歩行シーンにぴったり合う効果音をデザインしてみましょう。

 

足と地面の衝突音

ロボットの足が接地する「ガシャン」音は、DSP Moionの結合_メカ結合_金属パッチを使うといいでしょう。前者はメインとなるメカのインパクト音、後者は「ギギ…」とした重い金属音で引きずって歩く音を強調します。

両者ともに、スケッチパッド中央に短くカーブを描くだけで、音をトリガーできます。ただし画面右のパラメーターにはいくつかランダム幅を設けているため、例えばこの状態でメニューのSNAPRENDERボタンで10個の音を書き出せば、「ランダム性のある、似ているけど違うガシャン音」を10個作り出せます。単純な音の繰り返しでないロボット歩行音をすぐ用意できます。

 

 

脚の動き

ロボットが「ギイィ…」と足を持ち上げる音なども追加しましょう。まずはDSP Motionの拡大縮小_金属パッチを使います。パラメーターで、ざらついた金属セクションのみ有効にすると、絵に合うガタついた感じの音になるでしょう。このパッチではスケッチパッドのY軸で振幅を制御するため、映像のロボットの動きに合わせて、簡単に音のデザインができます。

一方で、DSP Actionにはロボットやメカ系の多彩なパッチも搭載されています。今回はトランスフォーム_ギアの音を重ねてみましょう。今回は機械的な音だけ欲しいため、サーボライザーといったサブ音は0でミュートしています。ロボットの足の動きに合わせて、スケッチパッドの中央⇔下部と線を描いていくといいでしょう。

このパッチは、スケッチパッド上の円弧を横切る際にトリガーされて「ガチャリ」とした音が生まれます。かつ、円弧の長さや密度はユーザー自身で変えられるため、トリガーされるサウンドの数も、柔軟に調節できます。

また、トランスフォーム_ロボットパッチも使いました。今回は「ウィーン」としたサーボ音のみ出す設定にしています。微妙に違うカーブを描きつつ結果をSNAP出力すれば、音のバリエーションを素早く作成できます。サーボのトーンパラメーターも使えば、さらに音のバリエーションを生み出せるでしょう。

 

 

水の動き

海面の水しぶきはDSP Motionの水系パッチが向いているでしょう。変形_水パッチによる金属製の足が水中を踏み鳴らす「ザブン」と、回転_水パッチによる水しぶきの「パシャパシャ」を組み合わせていきましょう。

また、水音にもう少し迫力を加えるため、DSP Actionのスタート/ストップ_水流パッチも使いました(水の渦セクションは不必要なためミュートしています)。このパッチもスケッチパッドY軸で振幅を制御して水の規模感をコントロールできるため、映像に合わせて線を上下に振るだけで簡単にできるでしょう。

さらに、ロボットは水に囲まれているので、DSP Actionのトランスフォーム_水中ダイブパッチで液体の音を追加し、全ての水の音をブレンドします。このパッチはスケッチパッド上下間で水中⇔水上を行き来する仕組みですが、今回は上側で線を左右に揺らすことで、波間を表現しています。

 

 

DSP MotionとActionではそれぞれ異なる得意分野があるため、併用していけばさらに音作りの表現の幅が広がります。1つのパッチ内に、豊富な合成パラメーターとコントロールが搭載されているため、今回の大型ロボのような複雑なシーンも、少ない作業数で完全にカスタマイズされた音演出ができます!

 



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