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2020/10/27

GameSynthで、チャージショットを作ろう

執筆者オーディオエバンジェリスト・Kevin Doran氏 Tsugiにより原文英語を和訳しています

プロシージャルサウンドの強みの一つとして、パッチ全体を綿密に設計し、柔軟に音を変化できる点があります。

今回は、シューティングゲームでよくある充電「キュイイイ…」→放電「ズガーン」の、チャージショットシステムを作ってみましょう。
下の動画のように、1つのメタパラメーターを変えることで、充電時間、放電パワーの音など、複数の要素が連動してチャージショット音が変化します。

充電時の音

充電時の「キュイイイ」は、パッチ左側のビーム音を出すBeam(ビーム)モジュールを音源としています。

上流のEnvelopeは、3秒かけて線形的にどんどん値が大きくなっていき、かつ3個のMapperによって、時間ごとにしなるように(非線形に)音質をパワーアップさせていきます。
さらに下部のSaturator(飽和)モジュールによって、音をどんどん濃密にさせています。

ちなみに、Beamモジュールの一番右の穴(=Slopeパラメーター)は、メタパラメーター(の逆値)と接続されており、 これによって、メタパラメーターの値が小さくなるほど音のパワーが抑制される効果を生んでいます。

放電時の音

放電時の「ズドーン」も、下図のように音源的にはBeam(ビーム)モジュールがベースになっています。

Beamモジュールと、そこに接続されている周辺モジュールを見てみましょう。
LFOモジュールによって、ビーム音にピッチの揺れを生じさせています。
Gainモジュール&Envelopモジュールによって、ビーム音が次第に小さくなります。

かつ、強いショット(=メタパラメーターが高い場合)になるほど、Thunder(雷)モジュールが、周辺のSaturatorモジュールや音量効果によって、強く発音されることになります。

ロジック

今回のパッチを制御している、2つのロジック部分について見ていきましょう。 (ちなみにパッチをShiftキーで再生しつつ、マウスカーソルを任意のケーブルの上に置くと、シグナルがリアルタイムでチェックできるため便利です)


下図のComparator(比較)モジュールは、接続されているエンベロープ値がメタパラメーター値を超えている際に「1」を発する仕組みとなっており、かつその下のRetrigger(リトリガー)モジュールによって、閾値を越した瞬間にトリガーを一度だけ再生します。
つまりここが、音の発電→放電を切り替えるロジックとなっています。


加えてパッチ左側のSelector(セレクター)モジュールは、トリガーされた瞬間に「発電時には振幅1(Constant(定数)モジュールの100%)」→「放電時にはなめらかに振幅0へとフェードアウト」 へと切り替える役割があります。


最後に、Retriggerモジュールに、放電音に関わる全てのモジュールを接続することで、 タイミングに関係なく、ショット時に音がトリガーされることになります。

最終処理

これまでのパッチ同様、各種フィルターで音質を調整しています。
・放電音にEQ(イコライザー)モジュールを繋ぎ、低音を強調させています。
Comb Filter(コムフィルター)Tube(管)モジュール空間効果を与えています。
場合によっては、Delay、Reverb、Cabinetモジュールを試してみるのもいいでしょう。



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