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Noiseモジュールで効果音を作ろう(後編)
ブログ2回に分けて、GameSynthモジュラーモデルのNoiseモジュールを使った音作りを紹介しています。前編ではルームトーンや風切り音でしたが、後編の今回は、衝突音や環境系の音を作っていきましょう。
衝突音
「短い時間のEnvelope」を使うことで、Noiseモジュールから衝突音タイプの音も作り出せます。
衝突音
下の動画のパッチは、足音や、ちょっとしたフォーリー音に使える衝突音です。
2つのADSRエンベロープは500ms以下の短いものに設定しており、1つはローパスのEQ Filterの周波数を、もう1つはグローバル振幅を制御します。このADSRモジュールは、セグメントの位置や、その尺の長さにランダムさを持たせることができるため(Envelopeモジュールには全体的なバリエーションのパラメーターがありますが)、再生毎にある程度のバリエーションをもった音が生成されます。また、CompressorモジュールとSaturatorモジュールのおかげで、音に強さを与えています。両者にもランダム幅をもたせ、音の強さにもバリエーションを生んでいます。
本ブログではシンプルなNoiseモジュールのみを使用していますが、より粒っぽい音のGranular Noiseや周波数バンドの調整に特化した Noise Bandsモジュールを使ってみるのもいいでしょう
ハンドクラップ
手を叩く音に近い音です。今回はモジュレーション系は使用せず、いくつかのフィルターを通して音を整えています。(ただし、Chorusエフェクトは原理的にモジュレーションが加わるため、これがパッチの設計を少し簡略化しています)
EQ 3bandsモジュールの中高ゲインとバンドパス設定のEQ Filterのレゾナンス(Q値)にランダム幅を追加することで、トーンバリエーションが生まれています。
トーン音の強いUIサウンド
音源としてNoiseモジュールを使用していますが、もう少し音色のあるものもデザインできます。Envelopeを非常に短い時間(50ms)に設定し、EQ (3 bands)で高周波を下げ、Comb Filterが音色のレゾナンスを作成しています。遅延を調整することで、サウンドの全体的なトーンを変更できます。Delayでサウンドに山びこ効果をもたせ、UI(インターフェース)系サウンドのように仕上げています。
環境音
もう少し複雑な設計にして、環境系の音を作ってみましょう。
風音
前回紹介した風切り音パッチに似ています。Noiseモジュールは、ローパス、バンドパス、ハイパスフィルターに分岐させた様々なEQ Filterを介し、Perlin Noiseによって様々な周波数帯域の、独立した変調を行っています。
Perlin Noiseは、音源ではなく疑似ランダム制御信号を作成するための特殊なタイプのノイズで、風などの自然音をシミュレートするのに適しています。この信号を有用な範囲内に保つため、Mapperモジュールを挟んでいます。
川
ここでも、水の流れの渦を作成するためにPerlin Noiseモジュールを使っています。1つ目はLadder Filterの周波数を変調し、フィルターのレゾナンスを約2に設定し、周波数を素早く変調させることで、水のような音に変えています。EQ (3 bands)は、高周波数のサウンドを柔らかくするために使用しています。パッチの右側の枝では、Noiseモジュールの出力をローパス設定のEQ Filterへ送信し、約2000Hz以上の周波数をカットすることで、川の激しい水音が生まれ、よりパワフルなサウンドになります。
炎
このパッチは、このチュートリアルで前述した多くの手法を組み合わせたものです。
3つに枝分かれし、それぞれ異なるタイプのノイズを使っています。
まず左のブラウニアン設定のNoiseでは、火の低音を生成し、その振幅はPerlin Noiseによって変調され、生き生きとしたサウンドにしています。60Hzに設定されたハイパス設定のEQ Filterで、低周波帯をカットしています。
次に中央の枝では、ホワイトノイズを使用して燃焼音を生成します。Noiseのローパス入力は、典型的な炎の音を模倣するためにランダムな LFOによって変調されます。LFOからの信号を処理するMapperの最大出力を調整することで、様々な強度を実現できます。
最後に、パチパチという音は、Distributionモジュールによって散発的にトリガーされるピンクノイズでシミュレートされます。Envelopeは最小時間(0.01s)に設定し、Impulseプリセットを使うことで、実際の持続時間は約1~2msほどの短いものになっています。Envelopeには少しバリエーションが設定されており、パチパチという音の繰り返しが少なくなり、より自然なサウンドになります。
この火花の音は、Sample&Holdモジュール(これはDistributionモジュールによってトリガーされると、 LFOの現在の値を保持する役割です)を介したランダムLFOによって、Pannerをコントロールすることで、左右のいろいろな場所で聞こえるように調整されています。
最後に、Reverbモジュールによってパチパチ音に空間感を加えています。
Noiseモジュールを使った、あらゆる効果音の作例を見てきました。パッチは以下よりダウンロードできます。